診断書

03.19

患者さんのケガで診断書を書くことになった。患者さんは幼児で、幼稚園の中で転んで顔を打ち、その際に前歯を脱臼し、口唇に裂傷を負った。裂傷の方は大した傷ではなかったが、前歯は動揺があったので、暫間的な固定を行った。全て保険の範囲の治療で済んだのだが、傷害に対する保険の給付を受けるという事で、母親が幼稚園から依頼されて関係書類を持ってきた。一応、預かって「書類が出来上がったら連絡します。」と言っておいた。だが傷害で保険の給付を受けるとすれば、この書類は診断書である。診断書を書くことは保険の範囲ではなく、私費(保険外)の扱いになる。当然費用が掛かる。その旨を母親に伝えようと思っている内に日にちが経ち、ある日母親が診断書を取りに来た。私は忘れていた事を詫びるとともに、診断書の作成には保険外になる為、別に費用が掛かる事を伝えた。母親はそれを聞いて、診断書の作成を延期して、幼稚園に相談すると言って帰って行った。           後日、幼稚園から連絡があった。「診断書を作成しても、幼稚園の予算が無いので掛かった費用は請求しないで欲しい。」というのである。診断書作成の費用は高々2000円ほどである。幼稚園の予算が無いとは思えない金額だがーー。更に幼稚園の担当者が言うには「他の医院では、普通は診断書の作成料はは取らないのですがーー。」と言うのだ。この言葉を聞いて私はおかしいと思った。

仮にも診断書は外部に公表する書類である。いい加減な事を記述するわけではないし、歯科医師としてそれなりの責任を負わなければならない。それを考えれば2000円が特に高い費用とは思えないがーー。

何よりも不信に思えたのは、幼稚園側や患者の母親が、医師や歯科医師としての裁量を無視しているという事だ。傷病を診断するという事は、普通の人にはできない事であろう。たとえ処置をしないとしても診断して病名を付ける事が、医師、歯科医師としての立派な仕事である。それを「ただ病名を紙に書くぐらいで金をとるな!」と幼稚園や母親から言われている様である。「医者は儲け過ぎているんだから、それぐらいただにしろよ!」とでも言いたいのだろうか?確かに北海道は不景気だから、その気持ちも判らなくはないが、当然支払わなければならない費用というのは、どの様な場合にもあるのではないだろうか?

 

 

 

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